日の丸醸造株式会社(国登録有形文化財)

ページID1004394  更新日 2021年9月28日

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特徴・見所

写真:日の丸醸造株式会社

建築年代
主屋:明治時代、文庫蔵:明治41年

元禄2年(1689)、沓澤甚兵衛が創業した「日の丸」は、大正2年(1913)年の日英大博覧会で1等金牌を受賞しました。大正14年(1924)に株式会社化し、戦時中一時廃業したものの、昭和23年(1948)年復活し、現在に至っています。
店舗は街道に西面して建つ平屋建ての建築です。妻面は化粧梁と化粧束、そして、その間の漆喰壁とが創り出す黒と白の対比が美しく、店舗に掛かる下屋庇と、主屋の大きく緩やかな屋根と相まって、伝統的な町家の様式を伝えています。内部は増田の商家らしく、南側に吹き抜けの「通り」を配して、店舗から醸造蔵まで屋内を往来できるようにし、同時に、家の中心部まで光が届くよう高窓を取り付ける工夫がなされています。北側には事務室、応接室などを配し、その奥に居住スペースを設けています。
この時期に建設された内蔵は、各蔵ごとに工法や意匠に工夫がなされ、当家の場合は5寸5分のヒバの通し柱を1尺間隔で配することで、堅牢な構造を創り出し、梁や小屋組を支えて他家の土蔵よりも階高の高い広い空間を作り出しています。また、小屋組も他家の物とは異なり、伝統的な重梁工法を用いながらも、使用されている小屋梁には元口2尺5寸の欅が使用され、その巨大な小屋組は見る者を圧倒します。
装飾に関しては、土蔵全体が黒漆喰で仕上げられ、土扉と冠木は磨き仕上げが施されています。土扉を飾る鞘飾りには、大戸や内部の欄間と同じ亀甲の組子細工が組み込まれ、漆塗りで仕上げられています。
1階の内部は、狭い間隔で立ち並ぶ柱や梁に漆が塗られ、柱間の白い塗込めの壁とが織り成す絶妙なバランスが、室内を凛と引締め、気品ある美しさを漂わせています。また、座敷の装飾にも当時の新しい素材であるガラスも取り入れられ、伝統的な工法と、最新の技術や素材を融合させて造られた、究極の土蔵と言って過言ではありません。

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