佐藤三十郎家(国登録有形文化財)

ページID1004378  更新日 2021年9月28日

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特徴・見所

写真:佐藤三十郎家

建築年代
主屋:明治20年、座敷蔵:明治11年

当家の主屋は、棟札より明治20年に建築されたことが判明しています。街道に面した正面の妻壁は、後世の改修でパラペットがその姿を隠していますが、秋田地方の伝統的な町家形式をとり、化粧梁と漆喰壁で造る白と黒のコントラストと、霧覆や店舗の下屋庇と相まった美しい構造美を創り出しています。
改装された店舗の脇を通り抜けると、上部が吹き抜けとなり、建築当初の豪快な小屋組が現れます。小屋組は水屋の上部が大正期に改修された形跡があり、二種類の小屋組を見る事ができます。建築当初のものは、丸太の梁と桁を井桁に組んでその上に束を立て棟木や母屋を受け、大正期のものは、二本の丸太の梁で桁を挟み、その上に束を立て四方から貫を通して固めたものとなっています。どちらも、豪雪地帯の積雪に対応した造りであり、この地域では商家に限らず広く古くから用いられている工法ではありますが、当家のものは特に規模が大きく、時代による工法の変化を見ることのできる貴重な建造物の一つと言えます。
当家の座敷蔵は、梁間7.3m、桁行12.7mとこの地区では最大級の梁間を誇る大型の座敷蔵です。正面妻部全体を黒漆喰で仕上げ、側面と裏面は開口部のみ黒漆喰、他は白漆喰で仕上げられています。現在は昭和初期に蔵前の一角が山衆(人夫)の控え場所として使われたため、暖をとる焚き火によって折角の漆喰が剥離してしまっています。
この蔵は当初より座敷蔵として造られたため、使用されている部材も大きく、洗練されたものとなっています。蔵の前半分は1尺5寸の栗板によって床が張られ、奥には12畳半と7畳半の座敷が設けられ、座敷には天袋と違い棚を備えた本格的な床の間が据付られています。また両壁は、5寸角の無節の柱が1尺間隔と狭い間隔で配されて堅固な造りになっており、柱間は漆喰によって貫を塗り込め、磨き仕上げが施されています。増田地区における明治初期の座敷蔵の指標となる貴重な土蔵です。

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