山中吉助商店(国登録有形文化財)

特徴・見所

建築年代

主屋：明治中期、旧座敷蔵：明治19年

当家の主屋に繋がる内蔵は座敷蔵であり、棟札から明治19年の上棟と判明しています。正面前面が黒漆喰、脇および背面は開口部廻りが黒漆喰で施されているほかは、白漆喰で仕上げられています。内部は一尺五寸間隔で栗と杉の5寸角の柱が交互に配され、内壁は貫を塗り込めた塗込壁で仕上げられています。床はコンクリート土間に改修されていますが、鴨居の痕跡があり天井も張られ赤や黒漆で仕上げられた竿縁や回縁が残っていることから、座敷蔵であったことは確認されています。
明治20年頃は、同地域の内蔵が盛んに造られ、その建造技術も確立し、漆を使用し内装を施したり、鞘飾りに細かい細工を施したりするなど、初期の無骨で重厚な内蔵から後の「意匠を凝らした内蔵」へ変化する過渡期となっています。当家の座敷蔵はそのような時期に造られ、増田地域の内蔵の変遷をたどる上で、建築年代が判明している貴重な座敷蔵となっています。