過疎地域における保育機能確保・強化のためのモデル事業
過疎地域における保育機能確保・強化のためのモデル事業
横手市では、令和7年度に、こども家庭庁より国のモデル事業である「過疎地域における保育機能確保・強化のための
モデル事業」の採択を受け、事業を行うこととなりました。
この事業は、当市のような人口減少が進む過疎地域にある保育園において、地域に点在する子育て機能や地域住民のための支援を集約させ、多機能化を図ることにより、子育て世帯の流出を抑制し、地域を維持していくことが可能となるような取組を行うものです。
事業内容の検討や事業効果の検証は、学識経験者や関係団体で構成する検討会で行います。
- 事業期間
-
令和7年10月1日から令和8年3月31日まで
- 対象施設
- さんない保育園、ますだ保育園
さんない保育園で行う事業
事業テーマ 地域資源の木を活用した地域交流の充実と地域づくり
山内地域は林業が盛んな地域で、地域の面積の9割が森林で、木材関連の事業所が多く所在しており、木はまさに地域資源です。
この地域の特性を生かし、保育園での地域資源の活用が、保育園や地域住民、地元事業所をつなげ、結びつきを強めることにより、地域の魅力の再発見や地域交流の活性化、若い世代の定住につながるものと考えます。
次の事業を予定しています。いずれも、地域の方にも広くご参加いただく予定です。
- 森林や自然環境に関する専門家を招いての学習会
- 木製遊具や地元の特産品の制作体験活動
- 木の特性を五感で感じられる木製遊具の体験活動
地域交流(1) 木工オーナメントづくり (令和7年12月12日)


さんない・明照・金沢保育園の園児が地域住民の方と一緒に木工オーナメントづくりをしました。 オーナメントの土台は、地元で木材加工をしているウッディさんないの手作りです。このオーナメントに、園児が素敵なイラストを描いて仕上げました。


さんない保育園でオーナメントを作ったあとは、道の駅さんないに移動し、クリスマスツリーの飾り付けをしました。このクリスマスツリーは横手市森林組合より提供いただいた生の杉の木を使用しています。
このクリスマスツリーは、12月25日まで道の駅さんないに設置し、山内地域に彩りを添えました。
当日参加した保育園の先生からは、「他園の園児と交流したことで新しいお友達ができて喜んでいた。子どもたちにとっていい経験になった」とのお声をいただきました。本イベントを通して、地域資源の価値を再確認するとともに、地域住民や子どもたち同士の交流に繋がる機会となりました。
地域交流(2) さんない保育園木製遊具体験デー (令和8年1月17日)


さんない保育園の広いホールに木製遊具を設置し、未就学児とその保護者を対象に1日限定で開放しました。パターゴルフや木馬、平均台を設置したほか、かんたんどうぶつ工作コーナーも設けました。
木製遊具は、すべてウッディさんないの手作りのものです。


木の種類によって、パターの重みやボールを打った時の音が異なるゴルフは子どもたちから大人気。どのパターがよく飛ぶか考えながら、ボールが入るまで一所懸命がんばっていました。


木工工作コーナーでは、きりんやうみがめなどの動物を作りました。やすりできれいに形を整えて、時々木のにおいも感じながら、工作を楽しみました。
当日は、市外も含め90人の方にご来場いただきました。
参加した保護者からは、「木が多い建物なので、中にいるだけでホッとする」「地域の交流が増えるので、園を一般開放することはとてもよい」というお声をいただきました。
また、地域住民の方からは、「にぎやかな子どもの声を聴くだけでも元気が出る。こういう機会があると嬉しい」というお声をいただきました。
木のぬくもりある園舎と木製遊具がマッチし、子どもたちは木の温かみに触れながら広いホールでのびのび遊びました。
本イベントを通して、来場者には木の温かみに触れてもらうとともに、子どもたちや地域住民の交流の場にもなりました。
地域交流(3) 植物を用いた実験・工作体験 (令和8年2月16日)
森林インストラクターをお招きして、さんない保育園の園児と山内小学校の児童が、植物に関する実験や工作体験を行いました。
ますだ保育園で行う事業
事業テーマ 幼・小・中の連携強化による保育・教育の内容の充実
増田地域は、保育園、小学校、中学校が地域内に1施設ずつ立地しており、0歳から15歳まで、同じ顔触れで進級・進学していく地域です。
このような地域は、市内で増田地域のみであり、その連続性により、教育・保育体制は地域から一体的に認識されています。
この流れは、合併前の旧町時代から20年以上継続しており、この体制のもとで、保育園と学校が築き上げてきた幼小中の接続連携は円滑で強く、他地域のロールモデルとなるものであり、中学校までの一貫した子育て支援体制は、地域の強みです。
特に連携が進んでいる保育園・小学校との間の異年齢児交流を中心に、保育園と小学生との関りを深め、保育園の教育的な価値を高めることで小学校と一体的な施設として地域に認識され必要とされる保育園を目指します。
次の事業を予定しています。交流事業は、地域の方にも広くご参加いただく予定です。
- 定期的な異年齢児の交流
- 幼小接続期のカリキュラムの策定
異年齢交流事業(1) ハロウィンパレード in まちなみ(令和7年10月31日)

中七日町商店街の通りをてくてくとことこ、ますだ保育園の園児と増田小学校の1・2年生がパレード開始。
増田の町並み(内蔵)の通りは「重要伝統的建造物群保存地区」に認定され、歴史的価値が非常に高い地域の中心に位置しています。

家(蔵)の中に家があることに、興味津々の子どもたち。
地域の大事な宝物の建物です。
平成26年10月には、天皇陛下(当時皇太子殿下)がご訪問されました。

お店を訪問しました。お店の方とお話をしたり、ハロウィンのお菓子を頂いたりしました。
小学生のお兄さんお姉さんも園児をリードしたり、サポートしたりしてくれています。

この行事に協力いただいたのは、中七日町通りに並ぶ6店舗。
江戸時代から続く旧家の佐藤又六家では園児の訪問を受け「子どもを見ることが少なくなった昨今、このように訪問してくれるのはうれしい。
地域が元気になるので、ぜひ続けてもらいたい」とお話がありました。
地域の高齢者を巻き込むことで、引きこもりの防止や孤独感の軽減など、地域福祉の向上にもつながります。

保育園に帰ってきて仮装ファッションショーを楽しんだ後、小学生の皆さんと互いに「ありがとう」と「またね!」の気持ちを込めてハイタッチ。
小学生のお兄さんお姉さんは、年下の園児の見守りやお世話をしっかりしてくれました。思いやりや協調性が育まれます。

参加した全員で記念撮影です。共有した思い出と共に、地域の保育園が、子どもたちにとってのホームグラウンドになることを願います。
そして地域を巻き込んだ交流が、子どもたちの成長につながり、子育て支援のインフラである保育園への地域の関心が高まることを期待します。
異年齢交流事業(2) 真人公園ピクニック遠足交流(令和7年10月) ※中止
園児と増田小学校の児童が地元の真人公園へ散策に行く予定でしたが、クマ対策のため中止となりました。
木の実などを工作の材料として拾い、学校で工作交流し、その発表会に地域の方を招く予定でした。
異年齢交流事業(3) 増田小学校学習発表会 (令和7年10月) ※中止
増田小学校の学習発表会(予行練習)に招かれ、小学生の発表を見て交流する予定でしたが、
インフルエンザ感染対策で、中止となりました。
異年齢交流事業(4) 雪中楽しみ会 1年生と年長交流会(令和8年2月27日)
ますだ保育園の年長児と、増田小学校の1年生が、小学校のグラウンドで、雪遊びをしながら交流しました。
※天候や気温を考慮し、今回は地域の方はお招きしませんでした。
雪遊びの内容は、年長児と1年生が、それぞれ考え企画したものです。詳しくは、後ほど公開します。
検討会の開催状況
第1回検討会

開催日時 令和7年10月16日(木曜日)13時30分~15時20分
開催場所 横手市役所本庁舎
出席者 15名
- 東北大学大学院法学研究科 公共政策大学院 教授
- 東北大学産学共創推進部 特任准教授
- 横手市立増田中学校 校長
- 横手市立増田中学校 PTA会長
- 横手市立増田小学校 校長
- 横手市立増田小学校 PTA会長
- 横手市立ますだ保育園 園長
- 横手市立ますだ保育園 保護者会会長
- 私立さんない保育園 園長
- 社会福祉法人 一真会 理事長
- 横手市教育委員会 教育総務部 部長
- 横手市教育委員会 教育総務部 次長
- 横手市教育委員会 教育指導部教育指導課 主査
- 横手市まちづくり推進部 増田市民サービス課 課長
- 横手市市民福祉部 部長
事務局(横手市市民福祉部子育て支援課)
次第
- 実施施設の選定
- 実施内容の決定
意見交換(さんない保育園)
- 全国的には、都会の保護者が、自然豊かな地方の保育園に通わせる保育留学の取組がある。
- さんない保育園も山内小学校も、地域を巻き込んだ運営に力をいれている。園と学校の連携も進んでいる。
- 園や学校で地域の方も招いて行事を行うと、高齢者の方が多く参加し、子どもの顔を見ると元気になるという声が多い。
ひきこもり防止にもなるので、地域の方を巻き込んでほしい。
意見交換(ますだ保育園)
- 県外で暮らした経験から、出生から15歳まで連続した教育ができる町の強みは普段から感じているが、
一方で地元の方は当たり前、普通のことと考えてしまいがちである。 - 園児数が減れば、そのまま増田小学校、増田中学校の生徒数も減る。小学校や中学校の維持も心配である。
- 数年後には、小学校の児童数が、複式学級となる人数になると見込まれる。できる取組を考え、早く動く必要がある。
- 保育園を社会的なインフラと位置付け、市が維持したいと考えてくれているのは心強い。
- この地域ならではの、保育・教育・人間育成につながる、他の地域と差別化する取組が目玉にあれば、
今回の事業が地域に広がって関心が高まるのではと思う。
第1回検討会 意見とりまとめ
子どもの減少に伴い、保育園の経営が成り立たなくなる可能性がある中、保育園が特徴を出し、維持していくためには、
地域住民や地域団体、事業所、地域の産業などの資源と保育園をどう結び付けていくかを考える必要がある。
それぞれ、関連する事業を合わせ行う多機能化を進め、スケールメリットを確保しつつ、地域住民に対するサービスの向上を
図ることで、地域住民の保育園への関心が高まり、保育園が置かれた状況への理解につながっていくと考えられる。
多くの方が関わり、取組を進めながら、保育園を起点にどういうことができるか、どんな可能性があるかを探っていく。
第2回検討会

開催日時 令和8年1月19日(月曜日)10時00分~12時00分
開催場所 横手市役所本庁舎
出席者 18名
- 東北大学大学院法学研究科 公共政策大学院 教授
- 東北大学産学共創推進部 特任准教授
- 横手市立増田中学校 校長
- 横手市立増田中学校 PTA会長
- 横手市立増田小学校 校長
- 横手市立増田小学校 PTA会長
- 横手市立ますだ保育園 園長
- 横手市立ますだ保育園 保護者会会長
- 横手市立山内小学校 校長
- 私立さんない保育園 園長
- 社会福祉法人 一真会 理事長
- 横手市教育委員会 教育総務部 部長
- 横手市教育委員会 教育総務部 次長
- 横手市教育委員会 教育指導部 部長
- 横手市教育委員会 教育指導部教育指導課 課長
- 横手市教育委員会 教育指導部教育指導課 主査
- 横手市まちづくり推進部 増田市民サービス課 課長
- 横手市市民福祉部 部長
事務局(横手市市民福祉部子育て支援課)
※東北大学公共政策大学院の学生1名の見学あり
次第
- 実施事業の中間報告
- 事業検証用アンケートの内容決定
- 保育園の多機能化にかかる保育所整備計画策定への意見聴取
中間報告の内容(さんない保育園)
- 木工オーナメントづくりと木製遊具体験デーの事業を開催した。事業は、民生委員や地元の企業・団体、地域の高齢者を巻き込んで企画した。
- 木製遊具体験デーは、未就学児向けに園を一般開放して行ったところ、90人の親子が来場した。駐車場は満車、想定を超えた人数が訪れ、市外から来られた方もいた。
- 木製遊具体験デーに参加した保護者の声は、「保育園が地域開放することは、地域の交流も増えてとてもよい」「保育園を一般開放するとは聞いたことがなく、とても興味を持った」「会場が保育園なので、子どもを遊ばせるのに安全安心である」「トイレやおむつ替えの心配がなく、気軽に参加できる場所である」などであった。
- 事業をきっかけに、山内地域のことや保育園のことを知っていただく、PRになるようなことができればと考えた。
- 保育園と木製遊具は親和性がよいと言われるが、実際に広く保育園で使われる木製遊具は、海外製であったり、海外の木でできている。今回のイベントで使用した木製遊具は、すべて地元の木を材料に、地元企業が製作している。地元で製作していることを発信すれば、地域の再発見や企業の支援ともなり、地域活性化にもつながる。
- 地元企業への協力依頼が、さらに他の企業からのさまざまな協力の申出につながって本当にありがたかった。地域と一緒に連動するような、地域が動き出したような実感があり、スモールステップを何回も何回も重ねていくことが大きな一歩につながると感じた。
中間報告の内容(ますだ保育園)
- 保育園と小学校と一緒に研修を行いながら、カリキュラムの作成を進めている。
- 小学校と年間の行事や活動をすり合わせることで、さらに一緒にできそうな取組などが見えてきた。子どもに付けたい力や育成したい力の共通理解も深まっている。
- 保育園でも小学校でも、先生が「どんな活動ができるか、どんな交流ができるか」を考え提案するようになっており、主体性が出てきている。
- カリキュラムのほかにも、以前から増田地区では、「0歳から15歳まで切れ目のない、育てたい子どもの姿」をまとめた資料を作成し、保育園と小学校と中学校で共有している。この資料の見直しを今行っており、令和8年度から活用する予定である。
- ハロウィンパレードに参加した保護者や地域住民の声は、「少子化が進む中で子どもが町を練り歩く姿は見ていて貴重な光景であり、地域もにぎわっていた」、「子どもが少なくなり、地域との触れ合いの機会もどんどん減っているから、このような機会は今後必要である」、「子どもと話し触れ合うことはとても楽しい」などであった。
- 地域に出て、地域の方と関わって、子どもたちが交流することで得られることは多い。小学校では一番下の1年生は、園児と交流するとお兄さんお姉さんの立場になり、園児に頼りにされることで新たな自己肯定感を得る場になる。
- 高齢者にとって、子どもと関わる機会が増えることは、孤独感の低減や引きこもりの防止にもつながる。
意見交換(さんない保育園)
- 山内小学校でも「木」を切り口ということできる。植樹、図工の授業、木製のメダルをマラソン大会で使うなど、木材を身近に感じられる取組を小学校でも行ってきている。保育園での取組が小学校にもつながり、大きな強みになっていくものと感じている。園と小学校で連携を一層密にし、さらに取り組んでいきたい。
- 市の中心部で生活している方は、さんない保育園や山内地域を、先入観で距離的に遠いところと思っている方が多いが、実は近い。園舎は木がふんだんに使われておりとても魅力的な建物である。一般開放すれば人が集まるのは自然なことと思う。それくらい可能性がある園であり地域である。
- 建物や周囲の自然環境、学校との連携の中で、このさんない保育園の環境にフィットする事情を抱えた子どもがいると思われる。ゆくゆくは、事情を抱えた子どもの支援も視野に入れて活動を展開するとよいのではないか。
- 地元企業や団体から「何か協力できることはないか」という声が寄せられているということは、地元企業側も、地域の諸課題への解決に取り組みたいという気持ちの表れだと思う。
意見交換(ますだ保育園)
- 事業テーマが幼・小・中の連携であるので、保育園と小学校の連携を軸としつつ、保育園と中学校との具体的な連携があるとよい。中学生になると発信力があるので、発信部分を任せてみてもよいのでは。かつて自分が楽しんだ保育園や小学校での行事に、中学生として関われるタイミングを作ってあげると、さらにつながりが生まれてくると思う。
- 0歳から15歳までの交流を強化していくことは、中学校側でも望ましいことである。幼小、小中の連携は進んでいる中、中学校として育てたい生徒像、教育課程の中にどう位置づけていくかを今後協議したい。
- 行事予定の情報発信をもっと行えば、もっと多くの方、特に高齢者の方がより集まり、にぎやかで多くの多世代交流につながっていくのでは。
- 保育園や学校の行事に、掛け算の意味で、かける地域(×地域)ということの軸をどう立たせていくか。地域にさまざまな資源があって、それらと保育・教育をどう結びつけていくかを考えていくと、いろんな可能性が出てくる。
- 全国的な取組で、保育と中学生の関係で行われている行事に「赤ちゃんとの触れ合い体験」がある。赤ちゃんは生存を周囲の人に委ねている状態だが、中学生がその姿を見て触れ合うことで「自分もこうやって大切に育てられてきたんだな」ということ実感し、命の大切さを育む教育である。思春期に入りいろいろな問題や悩みを抱える中学生を対象に行われている。全国的に推奨された取組であるものの、コロナ禍で下火になっている現状にあるが、一つの取組事例になるのではないか。
第2回検討会 意見とりまとめ
地元の企業や団体の多くの協力や自然環境、高齢者の参加を含め、地域資源を基にした取組により、地域でいろんな歯車が嚙み合って回り始めたような実感を多くの関係者が感じていることは大きな成果である。このようなつながりが、地域の中で保育所への関心が高まっていく契機となる。地域一体となって、今あるハードや地域資源を活用してどのような活動ができるか、それぞれの保育園や増田・山内地域だけではなく、横手市内全域で子育てしている家庭のためにどういうプラスの取組ができるか、それらの取組を市の事業としてどのように展開していけるのかをさらに考え、検証に向かっていく。
第3回検討会

開催日時 令和8年3月17日(火曜日)13時30分~14時50分
開催場所 横手市役所本庁舎
出席者 16名
- 東北大学大学院法学研究科 公共政策大学院 教授
- 東北大学産学共創推進部 特任准教授
- 横手市立増田中学校 校長
- 横手市立増田中学校 PTA会長
- 横手市立増田小学校 校長
- 横手市立増田小学校 PTA会長
- 横手市立ますだ保育園 園長
- 横手市立ますだ保育園 保護者会会長
- 横手市立山内小学校 校長
- 私立さんない保育園 園長
- 横手市教育委員会 教育総務部 部長
- 横手市教育委員会 教育総務部 次長
- 横手市教育委員会 教育指導部教育指導課 主査
- 横手市まちづくり推進部 増田市民サービス課 課長
- 横手市まちづくり推進部 山内地区交流センター センター長
- 横手市市民福祉部 部長
事務局(横手市市民福祉部子育て支援課)
次第
- 視察報告
- 個別事業の実施報告
- 事業の検証・評価
視察報告の内容
- 視察先は、当市では例のない、同一建物内に保育園や学校の機能を持つ施設とした(福島県、宮城県の2町。)
同一建物内での幼小の運営においては、その特徴を生かして連携が円滑で、工夫に富んだ取組が行われていると思われ、
異年齢児交流事業を主体とするますだ保育園の取組に活かすことを目的とした。 - 福島県内の町立施設では、「0歳からのシームレスな学び」を掲げ、園児児童生徒の動線を分けず、それぞれの活動が
混じり合う多様な学びの場を創出していた。保育園と小中学校の先生の合同研修は、年20回以上行われており、
所属を超えた同じ施設の職員として、チームで教育・保育に当たっていた。 - 宮城県内の町立施設でも、保育園と小学校の先生の日常的な交流が進んでいることにより、要保護児童や支援が必要な
園児への早期対応が可能となったり、校内外で気にある事案が行った際に、情報をスムーズに届け合ったりする
ことができている、との実践報告があった。
個別事業の実施報告(さんない保育園)
- 2月に行った植物を用いた実験・工作体験では、森林インストラクターの指導の下、保育園の近所で採取した落ち葉などを材料に、実験やランタン作成をした。
- 実験・工作体験は、園児が隣接の山内小学校の1年生や地域の高齢者、民生委員の方と一緒に活動をし、地域との交流を深めつつ、高齢者の外出を促し、その機会を増やすことも期待した。
- 実験・工作体験に関して、インストラクターからは、「木をテーマにした取り組みは身近でこどもたちが親しみやすいので、地域全体で取り組めるよい内容である」との意見を頂いた。
- 実験・工作体験に参加した地域の方からは、「こどもと一緒に楽しく製作することができ楽しかった」と感想が寄せられた。
- 12月からの3回にわたって行ったイベントでは、地域の方との交流が深められたほか、特に保育園一般開放は、今後の工夫により、遊び場を求める地域の子育て世帯に対する支援策につながるものと考えられる。
個別事業の実施報告(ますだ保育園)
- 2月に、「雪中楽しみ会 1年生と年長交流会」を開催した。年長児と1年生が、それぞれ遊びを企画し、小学校グラウンドで雪遊びをしながら交流を深めた。地域の方も招待したかったが、寒さや雪のため、この行事はこどもたちだけで行った。
- 異年齢児交流とカリキュラムの作成に加え、保育園と小中学校と協力して、「0~15歳を通じて育成を目指す子どもの姿」の構想図を作成した。
- この構想に基づき、ますは保育園と小中学校と推進委員会を立ち上げたい。さらには地区内にある増田高校も巻き込み、幼小中高の枠組みでできればと思う。
意見交換(さんない保育園)
- 山内といったら自然豊かで、いろんな素材が身近にあるものの、木のぬくもりや温かみという部分は、取組としてなかなか手をつけられなかったので、モデル事業はよいきっかけとなった。
- 枝打ちされた枝からも何か作ることができるのでは、というような簡単にできることから始め、継続し、日常の活動に織り込んでいくと、木と触れ合う機会が増え活動も継続していく。
- 高齢者が多い地域であるため、公民館機能がある地区交流センターとの連携により、高齢者を巻き込んだ地域の一大イベントにすることで、地域の良さをさらに感じてもらうことができると思う。
- 地区交流センターと山内小学校はコミュニティスクールという関連があり、学校の取組を地区交流センターが地域に発信する機会は多く、関りが深い。一方で、学校に隣接している保育園とは、繋がりがなかなかできないと以前から気になっていた。モデル事業がきっかけで、園とつながりができ、今後の地区交流センターの活動の幅が広がると考える。
- 園の一般開放で大好評だった遊具体験を受け、地区交流センターで企業から遊具を借りて、山内地区のこども食堂でも設置した。こどもたちに遊ばせたところ、大変喜ばれ、親子で遊んでいて、とてもよい雰囲気であった。
- さんない保育園の事業では、講師から指導を受けたり、企業遊具を借りたりしたため、費用は当然にかかっている。通常の保育以外の費用となるので、どうしても金銭的な負担に対する支援は必要であり、その手当の方法は課題である。
- 地域の方、特に高齢者の方は、保育園からのお誘いには関心は高いが、いざ園に向かって足を踏み出そうとすると足を踏んでしまう。保育園を気軽に訪れることの敷居はまだ高いような気がする。園のイベントを小学校でやるなど工夫して、もっと来園しやすい環境を少しずつ整えるのがよいと思う。
意見交換(ますだ保育園)
- 園に寄せられる保護者の声として、以前から地域との連携をずっと続けて欲しいという声が多い。地域から学ぶこともこどもたちは多いし、心の宝物が増えるから、そのような活動をこれからも続けて欲しいという意見が、本当に多く寄せられる。大事なことだと思うので、今後も地域との連携、また小学校との連携、一緒にできる行事を模索しながら進めていきたい。事業をきっかけに、連携がより深くなったと思う。
- 学校の児童生徒がこれだけ少なくなってきている中、地域との関わりというのは、なくしてはやっていけない状況になっているが、学校の教育課程ではしっかりねらい・目的を持って進めていく必要があるため、これらをどう織り込んでいくかを、学校側として意を割いて取り組んでいきたい。
- 秋田県では、全県の小中学校で、キャリアノートというノートを配って、小学校1年生の時からの成長を記録すると取組をしている。小学校1年生のときに1ページ目を書き始めて、高校に上がるまで、自分の成長や1年間に頑張ったことを書き留めていくノートであるが、自分のこどもが1年生のときに、こんなことを書いてこんなことを思っていたのか、今、中学校に上がってこんなふうに思っているのかということが、一冊の本になって成長が見ることができ、とてもよい取組だと感じている。これを参考に、保育園在園中の期間の部分の横手市オリジナルのノートを作成してみてはどうか。保育園から中学校までの15年間、その子の成長、その子の人生において、どのような関わりがあったのかということを書き記していくような物があると、地域全体でその子の人生を作るという点で、とても意味のあるものになるのではないかと思う。
保護者アンケートの実施
- 事業検証の基礎資料とするため、それぞれの保育園の保護者を対象にアンケートを行った。ますだ保育園は、異年齢児交流の事業があることから、小中学校の保護者も対象とした。
- アンケートの実施前に、本事業を紹介する広報チラシを作成し、アンケートの事前お知らせも兼ねて、保護者に配付した。チラシの配布により、本事業や保育園への関心を高め、アンケートの回収率の向上を図った(チラシは下段に記載)
- アンケート結果では、保育園が地域の福祉の向上や地域の活性化のために取り組む多機能化について、評価する声が多かった。人口減少の中、地域での行事の開催や住民との交流は、地域を明るくする力があり、こどもの成長にも寄与するとの意見があった。
- 出生数や在園児数の減少の速度が想像を超えて進んでおり、保育園の置かれた経営環境の厳しさや、保育園や小学校の存続への関心が高まったとの声も多くあった。
事業の検証と評価
1.事業の成果
|
内容 |
成果 |
|---|---|
|
協力体制構築 |
地元企業や団体との連携では、特に支障がなく、多くの協力を得ることができ、今後の協力体制が構築 |
| 企業の意欲向上 | 自社製品がイベント参加者からよい評価を受けたことで、新製品の開発に取り組むことになり、経営に 役立った |
|
地域福祉の強化 |
高齢者を巻き込んだ取組が、高齢者自身や地域の方からよい評価を受け、今後も期待されることとなった |
| 保育園への関心向上 |
園児数の急激な減少など経営環境が厳しい地域の保育園への関心が高まった |
| 施設の意識改革 |
市内の他施設において、両保育園の取組を参考に多機能化に取り組みたいとの声が複数寄せられており、 |
2.問題と課題の整理
保育園に関するもの
|
問題 |
課題 |
|---|---|
| 事業費用の負担 | 補助制度の創設、既存国県補助制度の活用 |
| 業務の新たな負担 | 行政との協働 |
| 事業運営のノウハウ不足 | 行政との協働 |
2.問題と課題の整理
行政に関するもの
|
問題 |
課題 |
|---|---|
| 取組の継続性 | 各種計画への事業の搭載 |
| 関係部署との連携強化 | 地域の住民窓口部門や高齢福祉部門との連携 |
| 情報発信の強化 |
より多くの発信源の確保 |
3.問題と課題の整理
事業者・団体に関するもの
|
問題 |
課題 |
|---|---|
| 保育園との希薄な関係性 | 行政による各種団体への情報提供、事業協力依頼 |
| 地域課題の捕捉 | 行政による福祉的ニーズの情報提供 |
多機能化に関する今後の取組の方向性
|
内容 |
方向性 |
|---|---|
|
市全体への効果 |
園の立地地域のみならず、市全体に子育て支援の効果が及ぶ取組の展開 |
|
特徴的な運営 |
規模や立地、建物の特徴を生かした運営方針の策定 |
|
地域との関わり |
地域に打って出る活動の展開 |
|
複合化 |
経営効率と保育の質の維持を両立させるダウンサイジングや複合化の検討 |
|
国制度の活用 |
補助制度の積極的な活用、新制度の早期導入 |
第3回検討会 最終意見とりまとめ
こどもたちや地域のために多くの方の協力が得られたことや、大きな負担はなかった取組で想定を超える反応があったことは、このモデル事業で得られた気づきである。負担をあまり感じずに、新しいことにチャレンジしていけるという発想を、行政や保育園、地域の方々が共有し、無理なく日常の実践に取り入れていくことが大切である。その上で、本事業の対象とした保育園は2つであるが、市内の他の保育園においても、園児減少の中で同様の状況になることは十分に想定されるため、個別の取組の成果をどのように展開していくか、市全体の保育をどう発展させていくか、どういう発展の可能性があるかを考える必要がある。
こどもが減り、高齢者が増える地域の中で、保育園を拠点に地域と掛け合わせる多機能化の取組は、高齢者の介護予防や引きこもり防止、交流をする通いの場の確保など、高齢者の保健福祉の向上につながるほか、地域を明るく元気にする活動にもつながっている。地域の有形無形の資源を活用した取組を継続し、保育園への関心と保育の質を高めながら、保育機能の確保と強化を進めていく。
事業広報用チラシ 保育園を地元に残すための取り組みを行っています


東北大学との連携
横手市は、令和元年度に、東北大学公共政策大学院とパートナーシップ協定を締結しています。
市の抱えるさまざまな課題の解決に向け、大学の研究の蓄積や教員の知見を活用し、指導や助言をいただき
ながら、ともに取組を進めています。
市のモデル事業の取組が東北大学のホームページで紹介されています。人口減少など全国的な課題に
真っ先に直面している東北地方から全国に向け、大学の視点で地域課題の解決に向けた取組が発信されています。
このページに関するお問い合わせ
健康福祉部子育て支援課幼保係
〒 013-8601 秋田県横手市中央町8番2号(本庁舎4階)
電話:0182-35-2133 ファクス:0182-32-9709
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