第13回読書に関する作品コンクール審査結果

ページID1006000  更新日 2021年10月25日

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特選

各部門の特選作品をご紹介します

文章部門

読書感想文

「ぼくはどう生きるか」

雄物川小学校 5年 伊勢 悠之介 (いせ ゆうのすけ)

 

 ぼくへ。君はこれまでに「どう生きるか」なんて、考えたことがあったかい。この本と出会ったことで、少しは自分のことを、世の中のことを考えるきっかけになったようだね。
 ぼくへ。コペル君が「人間分子の法則、編目の法則」を見つけたときに、君も身の回りにあるいろいろな物のことを考えた。例えば、今、手に持っているえん筆一本。このえん筆一本を作るのにどれだけの人が関わっているのだろうって。木を育てる人、切る人、加工する人、製品を運ぶ人、売る人、ここには書き切れないくらいの多くの人が関わっていることを。物を生産するということには、それだけ多くの人の努力や思いがこめられていることを。
 ぼくへ。君は今、何をつくりだしているのか。君の今の生活は、消費専門家だ。何一つ生産していない。いずれ大人になったら生産する側に立つだろう。でも、コペル君のおじさんが言っていた「自分では気づかないうちに、ある大きなものを日々生み出しているのだ。」の言葉の意味。いったい自分は何を生み出しているのだろうと考えた。いくら考えてもその答えは見つからなかったけれど、いつか見つかるといいな。
 ぼくへ。君はガッチンを守れなかったコペル君の姿が一番印象に残った。君は自分の体験と重ねながらこの場面を読んでいたはずだ。学校で友達がいたずらされていたとき、「やめてあげて。」と声を出すことができなかったことを思い出しながら。自分も同じことをされてしまうのではという恐怖心があったからだ。助けたい気持ちがあっても、恐怖心の方が強くなってしまうことがあることを知っていたんだ。君も、誤りを犯すことがある。でも君は、自分で自分を決定する力をもっている。だから、誤りから立ち直り、同じ誤りは二度としないように行動できるはずだ。
 ぼくへ。ガッチンたちは、コペル君を許した。ガッチンたちから見習うことはないかな。友達を大切にして、苦しいことも一しょに乗りこえていけるような生き方をしてほしい。
 ぼくへ。君はコペル君の亡くなったお父さんの願い、「立派な男になってもらいたい。人間として立派なものに。」に共感していたね。でも、立派な人間ってどういう人だろうか。まわりの流れにまどわされない、コペルニクスのような人間。いいことをいいことだとし、悪いことを悪いことだとし、君の心から出てくる感情をつらぬく人間になってほしい。
 最後にぼくへ。世の中はだれか一人の人間を中心に回っているわけではない。では、何を中心にして回っているのか。コペル君の疑問を一しょに考えてやってほしい。そして、たくさんの経験を積んで大人になっていってほしい。この本の内容はむずかしくて、すべてを理解することができないができないと思ったかもしれない。でも君は、またいつかこの本を読み返すはずだ。その時は「どう生きるか」について、今とはちがう考えをもっていると思う。

「漫画君たちはどう生きるか」 吉野 源三郎/原作 羽賀 翔一/漫画
 (マガジンハウス 2017年 ISBN978-4-8387-2947-0)

作品選評

 悠之介さんの感想文を読んだとき、心がぐっと惹き付けられました。それは、「ぼくへ」という呼びかけから始まる、自分自身への問いかけや語りかけの斬新さによるものです。さらに読み進めていくと、作品と出会ったことで、自分自身の生き方を深く見つめていく悠之介さんの姿が浮かび上がってきました。
 コペル君が、さまざまな経験や、叔父さんとの対話の中で、自分の生き方を探っていくように、悠之介さんも、「君たちは、どう生きるか」という問いと真摯に向き合っています。コペル君が、「人間分子の法則、編目の法則」の気付きをしたときは、手元の鉛筆を基に考えを広げました。また、コペル君が、ガッチンを救えなかったときには、自分の経験を思い出し、自分とコペル君の心を重ね合わせています。自分の誤りから目をそむけず、「自分で自分を決定する力をもっている」自分の心の強さを信じたいという思いに心を打たれました。コペル君は、亡くなったお父さんの「立派な人間になってもらいたい」という願いを受け止めて、力強く踏み出しました。悠之介さんも、「まわりの流れにまどわされない、コペルニクスのような人間。いいことをいいことだとし、君の心から出てくる感情をつらぬく人間になってほしい」と自分自身に呼びかけています。 本と出会ってさまざまなことを考え、そして、それを読書感想文にまとめることで、さらに考えを深めている悠之介さん。本との出会い、読書感想文への取組が、明日からの自分を創っていく。そんなすばらしい姿を私たちに示してくれた作品でした。


短文部門

こころに雨が ふるときは
本をひらいて 雨やどり

和泉 志歩 (わいずみ しほ)/十文字第一小学校 2年

作品選評

 「ホントにそうだよね!!」と共感を呼ぶ作品でありました。
 雨って、いつか止むんです。
 雨が止むまでの間、本を開いて物語の世界に入りこめば、物語の登場人物に励まされるかもしれません。同じような境遇の人が出てくるかもしれません。
 この作品は、本が傘であり、軒先であるということを、私たちに気付かせてくれました。


絵画部門

絵:強~い ザリガニ

強~い ザリガニ

松井 泰陽 (まつい たいよう)/上宮第二幼稚園 5歳児
「おおきくして はっけん! ざりがにの ひみつ」武田 正倫/監修 武田 晋一/写真〔チャイルド本社 2015年〕

作品選評

 画用紙いっぱいに元気よく描かれた作品で、ザリガニの迫力に圧倒されます。絵本の面白さや楽しさ、ザリガニの強さが、大きく描かれたザリガニの形や濃い赤色からよく伝わってきます。表面に水しぶきを感じさせる飛び散った絵の具も、より一層ザリガニの大きさや強さを表現しています。まるで絵本の中からザリガニが飛び出してきたように生き生きと瑞々しく描かれていて、大変素晴らしい作品です。


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